京都国立博物館 2025(令和7)年度 夏期講座

京都国立博物館

8月1日、2日の両日表題の講座を受講しました。今年のテーマは「国宝再考」です。(「こくほうさいこう」と入力すると「国宝最高」と変換されます。それも正しいような…)折しも今年の春は、同博物館で開催された「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」、奈良国立博物館の「超国宝展」、大阪市立美術館の「日本国宝展」と3ヶ所を回りたくさんの国宝を見たところです。

文化財保護法の条文では、国宝は「重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」とうたわれています。この夏期講座では、そんな国宝について再考するものでした。

京都国立博物館 2025(令和7)年度 夏期講座

1日目、京都国立博物館 主任研究員 森 道彦先生の「中世水墨画の名品と日本美術史」は、中世水墨画のお話を中心にしていましたが、日本美術通史といえる内容でした。京都国立博物館 主任研究員 上杉智英先生の「典籍の国宝―その魅力」を拝聴し、書跡と典籍と古文書の違いを明確にイメージできるようになりました。より古い写本が重要であることもわかりやすい説明がありました。筆者は祭祀・芸能に興味があるので、文化庁 文化財第一課民俗文化財部門 主任文化財調査官 前田俊一郎先生の「民衆の『宝』―民俗文化財の保護の思想と制度」のお話は特に興味深く拝聴することができました。

2日目、東京文化財研究所 名誉研究員 岡田健先生の「日本による中国文化遺産の保護協力活動を振り返る」では、国内のみならず世界各国の文化遺産の保護活動における日本の貢献を実体験として伺うことができました。京都国立博物館 教育室長 大原嘉豊先生のお話はとても面白く、藤原仏画を中心として日本的感性―日本人の色彩に関する美意識や、色彩と遠近感についても改めて考えるきっかけになりました。ここまで、日本の文化財についてのお話でしたが、今講座最後となる神戸大学 大学院人文学研究科 教授 宮下規久朗先生の「イタリアの都市と美術」はイタリアに特化した美術のお話でした。イタリアの美術の中心地は時代ごとに移り、それぞれの都市は景観が異なり美術も都市ごとである、フランスやアメリカは美術館という一カ所に美術品を集めるがイタリアはそうではないということでした。

以上、撮影やレジュメの掲載・公開も禁止されていますので、筆者の受講感想にとどめました。この講座中、受講者は開催中の特別展「釈迦堂縁起」をはじめすべての展示を自由に見ることができます。昼休みと講義終了後~閉館まで展示を観覧しました。同博物館の平成知新館は新しくきれいな建物です。敷地全体も緑豊かで空間がゆったりと設計されていて中にいるだけで心が癒されました。2日間ありがとうございました。