学術野営2024 in 東京に参加しました
合同会社 AMANE様が開催された学術野営2024 in 東京に、2024年7月5日(金)と7月7日(日)の2日、参加してきました。このイベントは自由で柔軟な雰囲気の中で、学術的な議論と地域交流を行うことを重視するイベントとして毎年一度行われるものですが、今年は地方ではなく東京で開催されるということで、初日5日のナイトセッションと、最終日7日の巡検に参加してきました。
初日のナイトセッションは、参加者それぞれの日常を円グラフにして、お互いの違いを議論し理解しあうというものでした。事前に内容を聞いたときは、それが学術と何の関係があるのかと不思議に思いましたが、「学術に関わる様々な職業、年代、性別など異なる特性を持つ人々が、より良い協働を継続するには、自らと異なる他者とのコミュニケーションの過程が重要」という趣旨を聞き、なるほどと納得いたしました。また、筆者自身はまだまだ学術ワナビー的な門外漢で、このようなイベントはアウェイの場のように感じていたのですが、参加者の話を伺うと必ずしも他の方も直接自身が研究に携わっている人だけでなく、研究に必要なサービスの営業の方などもおられ、現代の学術では様々な人が垣根を越えて協働する場となっていることをあらためて実感いたしました。
二日目のメインセッションは、別に紹介記事を書きました奈良高畑のイベントの方に参加しましたので、参加できませんでした。
三日目の巡検は、京成上野に集合して、上野公園の中を通って不忍池までの街歩きでした。今回の学術野営は、事前の火起こしの会で「神奈川生命の星・地球博物館」の大西さんと「パルテノン多摩ミュージアム」の仙仁さんの自然史に関する話題提供があったこともあり、上野公園の植生などに関する巡検となりました。しかし様々な学術の専門家が参加していたこともあり、考古学や歴史学、民俗学など様々な視点からの話題提供があり、とても刺激的なイベントとなりました。
主催のAMANEの方々からは、筆者にも折を見て話題を振っていただきました。大変ありがとうございます。Code for Historyが取り組んでいる古地図と、自然史系巡検を組み合わせたイベントなども話題に挙げていただきましたが、筆者のアイデアがすぐには回らずあいまいな返答しかその場では返せませんでした。後で考えてみたのですが、歴史上で人為が介した出来事と、そこから変わった自然の景観の諸相を、街歩きしながら見つけてみる、といったイベントはどうでしょうか。たとえば筆者が住んでいる相模原をはじめ、養蚕が過去広まったところでは、道端の雑樹木の中にも、普通に桑が混ざっていたりしますし、東毛館林の湖沼地帯では、明治維新後生業を失った士族のために、旧藩主が沼に蓮を植えて蓮根を新しい事業にしようとしたのが、今や蓮は沼地の観光材料になっていたり、ということもあります。そういった、人間の手が入らない元々の地域の自然景観と、その後さまざまな人間の営みが積み重なって変わっていった地域の自然景観を、街を歩いてそれぞれを見つけながら、その差を考えたり議論するようなイベントは面白そうだなと感じました。さらにその成果をマップにできたりしたらいいですね。
オンラインを除き、オフラインの学術野営に参加させていただいたのは今年が初めてでしたが、来年以降もぜひできる限り継続して参加したいと思っています。